【提言】創造的業務こそ単位当たりで語ろう!




「業務の自動化で◯◯万時間の業務を削減した。この余力時間を創造的な業務に投入することで弊社も真の働き方改革が遂行できる」。働き方改革が実施される中で最近よく耳にするフレーズである。

 上記の表現は、経営者にこそ聞き心地がよいがホワイトカラーの現場では戸惑っているのが実際ではないか。想定される実態は大きく2つ。「自社の企業戦略に沿って、自身が能動的に創造的業務をデザインしているケース」、もしくは、「自社の企業戦略に沿って、自身がどんな創造的業務に取り組むべきか見当がつかないケース」。ここで戸惑っていると表現したケースは後者である。

 これまでの日本企業は、目の前の業務に一所懸命取り組むことで評価されてきた。1911年に制定された工場法の考えが現在も人事制度の根幹として扱われているように、評価の対象が質ではなく量に比重が置かれていることは否めない。しかし、時代は急速に変化しようとしており量的業務の効率性向上における競争優位は過去の神話となり、質的業務の効果性向上にこそ競争優位が創造される時代になってきている。この思想に違和感を感じる読者は少ないと思われるが、ホワイトカラーの現場における創造的業務の運用がこの思想通りに進むのかと問うと、そうとは言い切れない。だからこそ、ここに競争優位が隠れているとも言える。

 現状各社が取り組んでいる働き方改革の成功を、「@=環境*人*テーマ*運用」と分解すると、「ITを含めた業務改革によって創造的業務に従事できる環境は整ってきたが、誰が(人)どんな創造的業務(テーマ)に従事し、それをどう推進していくのか(運用)」が、置き去りになっている。特に、マネジャーとして各メンバーと創造的業務がデザイン・共有できないが故に、「企業業績に影響する創造的業務ならとにかく可」という大まかな方向性だけは避けたいところだ。創造的業務であってもこれまで主に取り組んできた定型業務同様、「単位当たり」でデザインできる能力をマネジャーも各メンバーにも備えておくことが急務となる。必然的に、測定が難しいと思われている創造的業務の生産性測定が可能になり、運用面の問題も解決する。

 創造的業務だからこそ企業業績に影響する最終成果で管理するべきかと思われるかもしれないが、経営は結果オーライを許容できない。創造的業務であっても想定する期間損益概念を踏まえて単位当たりの成果物に分解し運用することがマネジャー・各メンバー双方にとって望ましい。創造的業務は標準化が難しい業務であるからこそ、単位当たりの成果物で管理すると着実な達成感を味わえる。結果、期待以上の最終成果に繋がる可能性が高まる。これは、メジャーリーガー・イチローが語った「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道」とも重なる。

 創造的業務に関する成果物を「単位当たりでデザインできる能力(=創造力)」こそが、日本企業の国際競争力を左右する因子として捉えても間違いないだろう。

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